
はじめに:発売から数年経った今、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を始めるのは遅い?

「乗り遅れた」と感じているあなたへ
2017年3月3日、Nintendo Switchのローンチタイトルとして発売され、世界中に衝撃を与えた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下、BotW)』。
発売から数年という月日が流れ、既に続編である『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』も世界中で大ヒットを記録しています。
そんな状況の中で、ふとこんな風に思ってはいませんか?
「話題になっていたのは知っているけど、今更始めるのは遅すぎるかな?」
「続編が出ているなら、新しい方から遊んだほうがいいんじゃないの?」
「周りはみんなクリア済みで、今から話を合わせるのも難しそう……」
その気持ち、痛いほどよくわかります。
SNSを開けば最新ゲームの話題ばかり。世の中のトレンドが次々と移り変わる中で、数年前のゲームに手を出すのは、少し勇気がいりますよね。なんとなく「旬を過ぎた料理」を食べるような、そんな一抹の不安を感じてしまうかもしれません。
しかし、結論から申し上げます。
**今から『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を始めるのは、決して遅くありません。**
**むしろ、今こそ遊ぶべき最高のタイミングであるとさえ断言できます。**
このゲームに「消費期限」はありません
実は私自身、このゲームを発売日に購入したわけではありません。世間の熱狂が少し落ち着き、あちこちで「最高傑作だ」という評判が定着した頃にプレイを開始しました。そして、エンディングまでじっくりとこの世界を旅した、いわゆる「後発組」のプレイヤーです。
実際にハイラルの大地に降り立って感じたのは、**「この面白さは、時代や流行に左右されるものではない」**という強い確信でした。
見渡す限りの美しい景色、自分の足でどこまでも行ける圧倒的な自由、そして自分なりの発想で謎を解いた時の快感。これらは、発売から何年経とうが一切色褪せることはありません。
名作映画が数十年経っても人々の心を打ち続けるように、BotWもまた、いつ遊んでもプレイヤーの心を震わせる普遍的な力を持っています。テクノロジーの進化とは別の次元にある、「冒険の根源的な楽しさ」がそこにはあるからです。
さらに言えば、続編が出ている今だからこそ、この「偉大な一作目」をプレイする価値がこれまで以上に高まっているのです。物語のつながりや、システム進化の過程を知ることで、ゼルダの世界をより深く味わうことができるでしょう。
この記事で伝えたいこと
この記事では、実際にBotWの世界を隅々まで冒険し、クリアまでたどり着いた一人のゲーマーとして、この作品の魅力を全力でレビューしていきます。
単なるスペック紹介ではありません。私が体験した感動や苦労を交えながら、以下のポイントについて本音で語ります。
- **なぜ世界中でこれほどまでに評価されているのか?**
- **実際にプレイして感じた「良かった点」だけでなく「気になった点」**
- **続編がある今、あえて本作をプレイする具体的なメリット**
これらを、これから始めようか迷っているあなたの背中をそっと、あるいは力強く押せるように、心を込めて執筆しました。
「神ゲー」という言葉は昨今安易に使われがちですが、もしその称号がふさわしいゲームが一つあるとしたら、私は迷わずこの作品を挙げます。
さあ、あなたの冒険を始める準備はいいですか?
まずは、なぜこのゲームがここまで愛され、伝説となったのか。その核心部分から紐解いていきましょう。
なぜ世界中で「神ゲー」と称されるのか?3つの革新的なポイント

発売から数年が経過してもなお、新規プレイヤーが増え続け、SNSでは新たな発見が投稿され続ける『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。
多くのメディアやプレイヤーから「オールタイム・ベスト(史上最高のゲーム)」とまで称賛される理由は、一体どこにあるのでしょうか?
単に「マップが広いから」や「グラフィックが綺麗だから」という理由だけではありません。そこには、これまでのゲームの常識を根底から覆す、**緻密に計算された3つの革新的な仕掛け**が存在するのです。
ここでは、本作がゲーム史を変えたと言われるシステム面での魅力を、具体的なエピソードを交えて深掘りしていきます。
壁も崖もすべて登れる「圧倒的な自由度」
従来のRPGやオープンワールドゲームを遊んでいて、こんな経験をしたことはないでしょうか?
「あの山の向こう景色が綺麗そうだな」と思って近づいてみたら、腰ほどの高さの柵や、少し急なだけの坂道に阻まれて先に進めない。
そこには開発者が設定した**「見えない壁」**があり、「ここから先は行けませんよ」と無言で拒絶されてしまうストレスです。
『ブレス オブ ザ ワイルド』における最大の革命は、この「見えない壁」を徹底的に排除した点にあります。
リンク(主人公)は、**目に見えるほぼすべての壁、崖、木、建造物によじ登ることができます。**
スタミナゲージ(がんばりゲージ)さえ続けば、どんなに高い山でも、断崖絶壁の塔でも、頂上まで登り切ることが可能なのです。
このシステムのおかげで、プレイヤーの行動は劇的に変化します。
- 「敵が強くて通れない道がある? じゃあ、横の崖を登って迂回しよう」
- 「道に迷った? とりあえず一番高い木に登って、周りを見渡してみよう」
このように、**ルート選びのすべてがプレイヤーの判断に委ねられています。**
もしこれからプレイするなら、まずは高い建物や山を見つけたら、とにかく登ってみることをおすすめします。
頂上からパラセール(滑空アイテム)を使って風に乗り、360度広がるハイラルの大地を見下ろした時の感動は、他のゲームでは味わえない「真の自由」を感じさせてくれるはずです。
火・水・雷が織りなすリアルな「物理法則と化学エンジン」
本作を語る上で外せないのが、開発チームが**「化学エンジン(Chemistry Engine)」**と呼ぶ独自のシステムです。
少し難しそうな言葉に聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば**「物質と自然現象の掛け算」**がリアルに再現されているということです。
通常のゲームでは、背景にある「草」や「水」はただの飾りであることが多いですよね。
しかし、このハイラルの世界では、それらすべてが意味を持ち、相互に干渉し合っています。
具体的にどのようなことが起きるのか、いくつか例を挙げてみましょう。
- **「草」×「火」=「上昇気流」**
草原に火を放つと、風向きに合わせて火が燃え広がります。そこで発生した熱による「上昇気流」を利用すれば、パラセールで空高く舞い上がることができます。
- **「金属」×「雷雨」=「落雷」**
雷雨の日に金属製の剣や盾を装備していると、リンクに雷が落ちて大ダメージを受けます。しかし、これを利用して**「敵の集団の中に金属の武器を投げ込む」**とどうなるでしょうか? 敵に雷が直撃し、一撃で倒すことができるのです。
- **「水」×「氷魔法」=「足場」**
川や滝などの水面は、氷の柱を作る能力を使えば、どこでも足場に変えることができます。
このように、剣や弓で直接攻撃するだけでなく、**環境そのものを武器にして戦える**のが本作の醍醐味です。
「雨が降っているから、崖が滑って登れないな……でも、足音が消えるから敵のアジトに奇襲をかけるチャンスかも?」
そんなふうに、天候や自然現象に合わせてプレイスタイルを変えていく。まるでサバイバル生活をしているかのような没入感が、そこにはあります。
謎解きの正解は一つじゃない!プレイヤーの発想を受け入れる懐の深さ
従来の『ゼルダの伝説』シリーズといえば、ダンジョンの謎解きには「たった一つの美しい正解」が用意されていました。
しかし、今作ではそのルールすらも撤廃されています。
プロデューサーの青沼英二氏が**「ズルも正解」**と語るように、ゴールにさえ辿り着ければ、どんな手段を使ってもクリア扱いになるのです。
例えば、あるスイッチを押すために本来はブロックを探してくる必要がある場面。
もし手元にブロックがなければ、**「手持ちの武器を山盛りに捨てて重しにする」**ことでもスイッチは反応します。
あるいは、電気を通すパズルで導線が足りない時、**「金属製の剣や盾を床に並べて電気を通す」**なんて力技も通用します。
極めつけは、ゲーム全体の攻略ルートです。
チュートリアルとなる「始まりの台地」さえクリアしてしまえば、ストーリーをすべて無視して、**いきなりラスボスのガノン城へ直行することすら可能**です。
(もちろん、裸同然の装備で挑むことになるため、凄まじいプレイヤースキルが必要になりますが……)
「開発者が用意したレール」の上を走らされるのではなく、プレイヤー自身がレールを敷いていく感覚。
「こんな方法、普通はダメだよね?」と恐る恐る試したことが、「いいよ、それも正解!」とゲーム側から肯定される。
この**懐の深さ**こそが、何百時間遊んでも飽きない、そして世界中で「自分だけの冒険譚」が語られ続ける最大の理由なのです。
「やらされる冒険」からの脱却。真のオープンワールド体験とは

近年、多くのゲームタイトルで採用されている「オープンワールド」というジャンル。広大な世界を自由に走り回れるのが売りですが、皆さんはプレイ中にこんなふうに感じたことはありませんか?
「マップ上がアイコンだらけで、それを消していく作業をしている気分になる……」
指定された目的地に行き、指定された敵を倒し、報酬をもらう。これではまるで、仕事の「To Do リスト」を消化しているような感覚に陥ってしまいますよね。
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下BotW)』が革命的だったのは、この「やらされている感」を徹底的に排除し、プレイヤー自身の**「好奇心」だけを推進力にする**仕組みを作り上げた点にあります。
ここからは、なぜ本作が「真の冒険」を感じさせてくれるのか、その設計思想と魅力について深掘りしていきます。
マップの隅々まで探索したくなる絶景と空気感
一般的なオープンワールドゲームでは、高い塔などのビューポイントに登ると、周辺のマップが解放され、宝箱やクエストの位置が自動的にアイコンとして表示されるシステムがよく見られます。
しかし、BotWは違います。
本作でも「シーカータワー」と呼ばれる高い塔に登って周辺情報を入手するのですが、地図が解放されても、**そこには地形が表示されるだけ**なんです。「ここに何かあるよ」というマークは、一切つきません。
では、どうするのか?
塔の頂上から自分の目で景色を見渡し、「あそこ、何か怪しいな」「あっちに変な形の岩があるぞ」と気になった場所に、自分で望遠鏡を覗いてピン(目印)を打つのです。
この「自分の目で見て、自分で決める」というプロセスが、冒険の質を劇的に変えます。
システムに「あそこに行け」と指示されるのではなく、「あそこに行ってみたい!」という自分の意思で足を踏み出すため、移動そのものがワクワクする体験に変わるのです。
また、その探索を彩る「空気感」の作り込みも尋常ではありません。
本作の舞台は、厄災によって一度滅びてしまったハイラル王国。いわゆる「ポストアポカリプス(終末後の世界)」です。
BGMはあえて控えめで、フィールドを歩いているときは主に風の音や草木の揺れる音、鳥のさえずりといった環境音が支配しています。そして、ふとした瞬間にピアノメインの繊細な旋律がポロン、ポロン……と流れてくる。
この「静寂」が、広大な世界にたった一人で放り出されたような「心地よい孤独感」を演出してくれます。
廃墟の美しさに見とれながら馬を走らせていると、不意に天候が変わり、激しい雷雨に見舞われることもあります。自然の厳しさと美しさが同居しており、ただそこにいるだけで「世界が生きている」ことを肌で感じられるでしょう。
これからプレイする方は、ぜひヘッドホンや良質なスピーカーを用意してください。風の音が変わる瞬間、近くに何かが潜んでいる気配など、音による情報量の多さに驚くはずです。
ストーリーすら順不同?ラスボスへ直行も可能な自律性
「RPGといえば、まずは村で情報を集め、次は洞窟でボスを倒し、その次は隣町へ……」という一本道の進行が当たり前だと思っていませんか?
BotWは、そんな常識も軽々と飛び越えていきます。
ゲーム冒頭のチュートリアルエリア「始まりの台地」さえクリアしてしまえば、その後は**どこへ行き、何をしても完全に自由**です。
極端な話、装備もままならない裸同然の状態で、いきなりラスボスの待つ「ハイラル城」へ直行し、クリアすることだってシステム上可能です(もちろん、猛烈に難しいので最初のうちはおすすめしませんが!)。
多くのプレイヤーは、世界各地にある4つの「神獣」を解放し、力を蓄えてからラスボスに挑むルートを選びますが、これも「どの神獣から攻略するか」「あるいは攻略しないか」を含めて、すべてプレイヤーの判断に委ねられています。
ストーリーの見せ方も独特です。
100年前に何が起きたのかを知るための「ウツシエの記憶(思い出の場所探し)」という要素があるのですが、これも発見する順番はバラバラ。
断片的な記憶を自分の手で拾い集め、プレイヤー自身の頭の中で「ああ、あの時こうなっていたのか」と物語を再構築していく過程は、まるでミステリー小説を読み解くような知的な興奮があります。
「こっちの道の方が楽しそうだから」という理由だけでルートを変えても、誰にも怒られません。むしろ、正規ルートを外れた場所にこそ、開発者が隠した「遊び」や絶景が待っていることが多いのがBotWのすごいところ。
「やらされる冒険」ではなく、あなたが主役となって紡ぐ「あなただけの物語」。
クリア後に他の人のプレイ動画を見ると、「えっ、そんな場所あったの?」「そんな攻略法があったなんて!」と驚愕すること間違いなしです。それくらい、プレイヤーによって全く異なる体験が生まれるゲームなのです。
【本音レビュー】クリアして感じたメリット・デメリット

世間では「神ゲー(神のような素晴らしいゲーム)」として名高い『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』。多くのメディアやプレイヤーが絶賛していますが、実際にエンディングまでプレイしてみると、単なる「完璧なゲーム」という一言では片付けられない、尖った特徴が見えてきました。
正直にお伝えすると、このゲームは**プレイヤーの性格によって、評価が大きく分かれる可能性**を含んでいます。
私自身は、クリア後のエンドロールを見つめながら「この世界に生まれてよかった」と本気で思うほど感動しました。しかし同時に、「ここで挫折する人もいるだろうな」と感じたポイントも明確にあります。
ここでは、実際にハイラルの大地を駆け回って感じた「最高の没入感」と、人によってはストレスになり得る「シビアな仕様」について、忖度なしの本音でレビューしていきます。
プレイして良かった点:時間を忘れる没入感と発見の喜び
私がこのゲームをプレイして最も感動したのは、**「目に見える場所のすべてに、自分の足で行ける」**という圧倒的な自由度と、それに伴う没入感です。
従来のRPG(ロールプレイングゲーム)では、背景に見える山や城はあくまで「絵」であり、実際には見えない壁に阻まれて行けないことがほとんどでした。しかし、本作にはその壁がありません。
「あの山の頂上、景色が良さそうだな」
そう思って崖をよじ登れば、本当に頂上に立つことができ、そこには息をのむような絶景や、隠された宝箱が待っています。この「好奇心が必ず報われる」という体験が、プレイヤーを強烈にゲームの世界へと引き込みます。
具体的に、私が特に素晴らしいと感じたのは以下のポイントです。
- **「やらされる」ではなく「やりたい」が原動力**
多くのゲームにある「次は〇〇へ行け」という強制的な指示が、本作にはほとんどありません。チュートリアルを終えた瞬間から、いきなりラスボスの城へ向かうことさえ可能です。「誰かに言われたから」ではなく、「自分が気になったから」あっちへ行ってみる。この自発的な冒険こそが、本作の醍醐味です。
- **嘘のない物理法則と「ひらめき」の快感**
この世界は、現実と同じような物理法則で動いています。草に火をつければ風に乗って燃え広がり、雨が降れば岩肌は濡れます。これを利用して、「敵の拠点にある枯れ草に火を放って一網打尽にする」といった戦略が思い通りに決まった時の快感は、他のゲームでは味わえません。「もしかして、これできる?」というプレイヤーのひらめきを、ゲーム側が全力で受け止めてくれるのです。
- **止まらない「寄り道」の楽しさ**
目的地に向かって馬を走らせていると、怪しげな森や、謎の遺跡が視界に入ります。「ちょっとだけ見てみよう」と寄り道を始めると、そこで新たな祠(パズルのあるダンジョン)やミニイベントに遭遇し、気づけば本来の目的を忘れて数時間が経過している……なんてことが日常茶飯事です。
私自身、平日の夜に「30分だけやろう」と起動して、気がついたら深夜3時になっていたことが何度もありました。それほどまでに、このハイラルの世界は探索の喜びに満ちています。
人によっては合わないかも?気になった点(武器耐久値・雨など)
一方で、このゲームには「人を選ぶ」明確な要素も存在します。これらはリアリティやサバイバル感を高めるための仕様ですが、快適さを求めるプレイヤーにとってはストレスになる可能性があります。
これから始める方は、以下の点が自分にとって許容できるか、あるいは楽しめるかを考えてみてください。
1. 武器が壊れる(耐久値システム)
本作の最大の特徴であり、賛否両論のポイントが**「使った武器はいずれ必ず壊れる」**というシステムです。
どんなに苦労して手に入れた強力な剣でも、敵を攻撃したり木を切ったりしていれば、やがて「ガシャーン」という音と共に砕け散り、消滅してしまいます。修理することもできません。
「レアアイテムは大切にとっておくタイプ(いわゆるエリクサー症候群)」の方にとっては、これがかなりのストレスになるかもしれません。「もったいなくて強い武器が使えない!」というジレンマに陥りやすいのです。
**【楽しむためのマインドセット】**
このシステムを乗り越えるコツは、**「武器は使い捨ての弾薬だ」と割り切ること**です。本作では、敵を倒せば次々と新しい武器が手に入ります。一つのお気に入りに固執するのではなく、「壊れたら現地調達すればいいや」という野生児のような思考でプレイすると、次々と色々な武器を使う楽しさが生まれてきます。
2. 雨の日の壁登りが困難
冒険をしていると、天候が変化し、雨が降ることがあります。雨が降ると、崖や壁が濡れて滑りやすくなります。
この状態で壁を登ろうとすると、数歩登るたびにズルズルと滑り落ちてしまい、スタミナだけを浪費してしまいます。高い崖の中腹で雨が降り始めた時の絶望感は、筆舌に尽くしがたいものがあります。「早く先に進みたいのに進めない」という状況に、イライラしてしまう人もいるでしょう。
**【具体的な対処法】**
雨は「自然の厳しさ」の表現ですが、ただ耐える必要はありません。以下のような対策を知っておくと楽になります。
- **焚き火で時間を飛ばす:** 濡れていない場所(木の下や洞窟など)で薪に火をつけ、「暇をつぶす」コマンドで天候が変わるまで時間を飛ばす。
- **ルートを変える:** 壁登りを諦め、徒歩で登れる迂回路を探す。意外な発見があるかもしれません。
- **ワープする:** 一度別の場所にワープして、天候が変わった頃に戻ってくる。
3. 序盤のゲームオーバーの多さ
ゲーム開始直後の主人公(リンク)は、驚くほど弱いです。ハート(体力)は少なく、防具もペラペラ。敵の一撃であっけなく「GAME OVER」の文字を見ることになります。
最近の親切なゲームに慣れていると、「なんでこんなにすぐ死ぬの?」と理不尽に感じるかもしれません。しかし、これは「世界がいかに危険で、リンクがいかに無力か」を表現するための意図的なバランスです。
冒険を進めてハートを増やし、強力な防具を手に入れ、料理で能力を底上げしていくことで、確実に強くなっていきます。序盤の死にゲー(死んで覚えるゲーム)感を、「成長の実感」として楽しめるかどうかが、ハマるかどうかの分かれ目になるでしょう。
総じて、**不便さも含めて「冒険」として楽しめる人**にとっては、これ以上ない傑作になります。逆に、サクサクとストレスなくストーリーだけを追いたい人には、少々ハードルが高いかもしれません。
続編『ティアーズ オブ ザ キングダム』が出た今、あえて前作をやるべき理由

「今からゼルダを始めるなら、最新作の『ティアーズ オブ ザ キングダム(以下、ティアキン)』からやった方がいいんじゃない?」
そう思うのは当然のことです。ゲームは日々進化しており、システムもグラフィックも最新作の方が優れていることが多いからです。しかし、こと『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下、ブレワイ)』に関しては、その常識は通用しません。
結論から申し上げますと、**これからゼルダの世界に飛び込むなら、絶対に前作『ブレワイ』からプレイすることを強くおすすめします。**
「続編が出たから前作は用済み」ということは全くなく、むしろ続編が出た今だからこそ、前作の価値が再評価されているのです。
なぜそこまで言い切れるのか?
これには、単なる「懐かしさ」ではない、ストーリー構成とゲーム体験の両面における明確な理由があります。
ストーリーの連続性:100%楽しむなら時系列順がベスト
まず最大の理由は、シンプルに「物語が直結しているから」です。
『ティアキン』は、前作『ブレワイ』のエンディングから数年後の世界を描いています。舞台は同じハイラル王国。登場するキャラクターたちの多くも続投しています。
もし、いきなり続編から始めたらどうなるでしょうか?
もちろん、ゲームとしては十分に楽しめます。任天堂もそのあたりは配慮して作っています。
しかし、それはまるで**「全2シーズンの大作ドラマを、シーズン2から見始める」ようなもの**です。
前作をプレイしていると、以下のような「感動の深み」が段違いになります。
- **キャラクターの成長:** 前作では頼りなかった若者が、続編では立派なリーダーに成長している姿を見て目頭が熱くなる。
- **復興の喜び:** 前作で廃墟だった村が、数年の時を経て活気を取り戻している様子に感動する。
- **関係性の変化:** リンク(主人公)とゼルダ姫の関係が、前作の冒険を経てどう変わったのかを肌で感じられる。
例えば、前作で一緒に苦難を乗り越えた仲間が、続編で「久しぶりだな、リンク!」と声をかけてくれた時。
前作を知らないプレイヤーにとっては「初めましてのNPC」ですが、前作をクリアしたプレイヤーにとっては「懐かしい戦友」との再会になります。
この**「再会の喜び」こそが、続編『ティアキン』における最大のご褒美の一つ**なのです。この感動を自ら捨ててしまうのは、あまりにももったいないと思いませんか?
『ブレワイ』にしかない「静寂」と「サバイバル感」の魅力
次に、ゲームプレイの「体験の質」の違いについてお話しします。
よく「ティアキンはブレワイの完全上位互換(アップグレード版)」と勘違いされがちですが、実はこの2作、目指している方向性が異なります。
- **ティアキン:** 「ビルド(工作)」と「賑やかさ」。何でもできる自由さと、空や地底を含めた密度の濃い冒険。
- **ブレワイ:** 「発見」と「静寂」。大自然の中でたった一人、生き抜くサバイバル感。
続編の『ティアキン』は、非常にクリエイティブで賑やかです。その辺に落ちているものをくっつけて車や飛行機を作ったり、仲間と共に戦ったりと、画面の中は常に情報量が多い状態です。
一方で、前作『ブレワイ』には、**独特の「孤独な美しさ」**があります。
100年の眠りから覚め、記憶を失った状態で広大な世界に放り出される。
聞こえてくるのは、風の音、鳥のさえずり、そして時折流れるピアノの旋律だけ。
この**「世界にたった一人」という没入感**は、前作でしか味わえません。何もない草原をただ馬で駆けるだけの時間が、とてつもなく愛おしく感じるのです。
また、システムが比較的シンプルであることも、『ブレワイ』の大きな魅力です。
続編は「ウルトラハンド」などの特殊能力が複雑で、操作に慣れるまで時間がかかることがあります。しかし前作は、もっと原始的な「登る」「走る」「パラセールで飛ぶ」といったアクションが中心です。
「複雑なことを考えず、ただ美しい世界に浸りたい」
そう願うなら、実は最新作よりも前作の方が、心に刺さる体験ができるかもしれません。
結局、どっちから先にプレイすべき?
ここまで読んでも「でも最新作の方が便利機能も多いんでしょ?」と迷っているあなたへ。
最後に、**システム面から見た決定的な「順序の理由」**をお伝えします。
それは、**「ティアキンの便利さに慣れてしまうと、ブレワイに戻るのが辛くなる」**という点です。
続編『ティアキン』は、前作をベースにしつつ、プレイヤーが「もっとこうしたい」と思った部分を徹底的に改良しています。例えば、天井を通り抜けて上に移動できる「トーレルーフ」という能力や、武器に素材をくっつけて強化する「スクラビルド」などです。
もし先に『ティアキン』をやってしまうと、その後『ブレワイ』をプレイした時に、こう感じてしまうでしょう。
「あそこ、トーレルーフがあれば一瞬なのに、なんで崖を登らなきゃいけないの?」
「武器がすぐ壊れるけど、強化できないのがストレス……」
本来なら『ブレワイ』の魅力であるはずの「不便さを楽しむサバイバル」が、便利な続編を知ってしまったせいで「単なるストレス」に変わってしまう恐れがあるのです。
これは、非常にもったいないことです。
美味しいコース料理を食べる時、デザートから先に食べてしまっては、メインディッシュの繊細な味付けが分からなくなってしまいますよね? それと同じです。
**アクションプラン:**
もしあなたが「ゼルダ」という体験を骨の髄まで味わいたいなら、以下の手順を踏んでください。
1. まず**『ブレワイ』**で、何もない大自然を自分の足で踏破する「孤独と感動」を味わう。
2. クリア後、その世界がどう変わったのかを楽しみに**『ティアキン』**へ進む。
この順番でプレイすることで、あなたは約200時間〜300時間にも及ぶ、人生で忘れられない壮大な旅を体験することになります。
「今更」なんてことはありません。
あなたにとって、今日がハイラルの大地に降り立つ最初の日なのですから。
まとめ:『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』はこんな人におすすめ!

ここまで、私が実際にプレイして感じた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(BotW)』の魅力を熱く語ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
発売から時間が経過しているため、「今更始めても楽しめるかな?」「話題になりすぎていて、逆に手を出しにくい」と感じている方もいるかもしれません。
しかし、断言させてください。
**このゲームを始めるのに、「遅すぎる」ということは決してありません。**
むしろ、攻略情報が出揃っている今だからこそ、自分のペースで詰まることなく楽しむこともできますし、あえて情報を遮断して、自分だけの冒険を一から作り上げる贅沢な遊び方も可能です。
最後に、これまでのレビュー内容を踏まえて、具体的にどのような人にこのゲームがおすすめなのかを整理しました。
あなたは当てはまる?おすすめな人の特徴リスト
もし、以下の項目のうち一つでも「自分のことだ!」と思うものがあれば、ハイラルの大地はあなたを歓迎してくれるはずです。
- **「寄り道」こそが旅の醍醐味だと思っている人**
メインストーリーを放置して、気になる山を登ったり、怪しい森を探索したりすることにワクワクできる人にとって、本作はまさに天国です。目に見える場所のほぼすべてに行くことができ、そこには必ず何かしらの発見が用意されています。
- **「こうしたらどうなるだろう?」と試行錯誤するのが好きな人**
「木を切り倒して橋にできるかな?」「雷雨の日に金属装備を敵に投げつけたら雷が落ちるかな?」といった、プレイヤーの閃きやイタズラ心を、このゲームの物理エンジンはしっかりと受け止めてくれます。正解が一つではない謎解きを楽しみたい人に最適です。
- **説明書を読まずに、手探りで遊ぶのが好きな人**
本作は、チュートリアルが終わると放り出されるような感覚がありますが、それが魅力です。「どこへ行ってもいい」「何をしてもいい」という究極の自由の中で、自分だけのサバイバル術を身につけていく過程に、深い達成感があります。
- **映画のような感動的なストーリー体験を求めている人**
過去の記憶を辿りながら、滅びた王国の悲しみと希望を知る物語は、多くのプレイヤーの涙を誘いました。派手なムービーばかりではなく、静かな廃墟が語る歴史に想いを馳せることができる人には、深く刺さる物語体験となるでしょう。
逆に、こんな人には合わないかもしれません
公平なレビューとして、あえて「合わない可能性がある人」についても触れておきます。
- **武器が壊れるシステムにストレスを感じる人**
本作の武器は消耗品です。愛着のある武器でも使い続ければ必ず壊れます。「ずっと同じ最強装備で戦いたい」という人には、リソース管理が少し手間に感じるかもしれません。(ただし、次々に新しい武器を現地調達して戦うサバイバル感が好きな人には最高です!)
- **明確な「次に行く場所」を常に指示してほしい人**
自由度が高すぎるがゆえに、「何をすればいいかわからない」と途方に暮れてしまう瞬間があるかもしれません。一本道のレールの上を進むゲームが好きな場合は、少し戸惑う可能性があります。
迷っているなら、今すぐ「ハイラル」へ飛び立とう
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、多くのゲーマーが**「記憶を消して、もう一度最初から遊びたいゲーム」**として名前を挙げる傑作です。
これから初めてプレイできるあなたが、正直うらやましいくらいです。
あの広大な草原を駆け抜ける風の音、焚き火の爆ぜる音、そして強大な敵に立ち向かう時の手の震え。
そのすべてが、あなたのゲーム人生において忘れられない体験になることを約束します。
もし購入を迷っているのなら、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
ニンテンドースイッチを手に取り、あの丘から広がる世界を見下ろした瞬間、あなたの冒険心に火がつくはずです。
さあ、リンクと共に、100年の眠りから覚める時が来ました。
ハイラルの大地で、あなただけの伝説を作ってください!