
こんにちは!中学生の娘と小学生の息子がいるmomoです。
最近、Amazon Primeで話題の『沈黙の艦隊』を家族で観てみたんです。そしたら、これがもう、ただのアクションドラマじゃなくて…!
むすこ:潜水艦、めちゃくちゃカッコいい! でも、なんで日本の船がアメリカと戦ってるの?
むすめ:海江田さんの言ってること、難しいけどなんだかすごい…。正義ってなんだろうって考えちゃった。
30年以上も前の漫画が原作なのに、現代の世界が抱える問題を鋭く突いていて、親子ですっかり夢中になってしまいました。
今回は、この不朽の名作『沈黙の艦隊』がなぜ今も人の心を惹きつけるのか、主人公・海江田四郎の思想や心に響く名言を通して、その魅力を深掘りしていきたいと思います!
momo:難しいテーマだけど、親子で社会について話す良いきっかけになりました!
この記事はこんな人におすすめ
- 実写ドラマや映画を観て、原作や物語の背景に興味を持った方
- 『沈黙の艦隊』が気になっているけど、長編なので手が出せなかった方
- お子さんと一緒に社会問題について考えるきっかけが欲しい方
- 核や平和について、エンターテイメントを通して学びたい方
【この記事の著者】 momo
- 中3娘・小4息子の母
- 子どもには勉強より読書をさせたい人
- 難しいテーマも、親子で一緒に考えるのが好き
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『沈黙の艦隊』とは?核と平和を問う不朽の名作

『沈黙の艦隊』は、1988年から1996年にかけて講談社の「モーニング」で連載された、かわぐちかいじ先生の代表作です。単行本は全32巻で完結し、累計発行部数は3200万部を超える大ヒットを記録しました。
むすこ:累計発行部数3200万部ってどれくらいすごいの?鬼滅の刃くらい?
momo:すごい数だよね!それだけ長い間、たくさんの大人が夢中になって読んできたってことだよ。
1990年には第14回講談社漫画賞一般部門を受賞するなど、作品としての評価も非常に高いです。連載当時は、冷戦が終わりを告げ、世界が新しい秩序を模索していた時代でした。そんな時代背景の中で、本作が提示した「核と平和」というテーマは、多くの読者に衝撃と深い思索の機会を与えました。
物語は、日米が共同で極秘裏に建造した最新鋭の原子力潜水艦「シーバット」が、初代艦長である海江田四郎二等海佐によって乗っ取られるという、衝撃的な事件から幕を開けます。海江田は76名のクルーと共に、「シーバット」を独立戦闘国家「やまと」と宣言し、全世界に向けて叛乱を開始するのです。
2023年には、Amazon Prime Videoで実写ドラマが配信され、大きな話題を呼びました。最新のVFX技術で再現された潜水艦の迫力ある映像はもちろん、大沢たかおさんが演じる海江田四郎のカリスマ性も見事に表現されています。『沈黙の艦隊』は、単なる過去の名作ではなく、核の脅威が再び現実味を帯びる現代にこそ、改めて向き合うべき物語なのです。
反逆者か救世主か?主人公・海江田四郎の思想と目的

『沈黙の艦隊』の物語を動かす原動力は、主人公である海江田四郎の圧倒的な存在感と、その深遠な思想にあります。彼の行動は「叛乱」という形を取りましたが、その根底には既存の世界秩序、特に「核抑止論」に対する痛烈な批判がありました。
むすめ:核抑止論って、つまり「こっちも核を持ってるから攻撃するなよ」って脅し合うことで平和を保つってことだよね。なんだか危ういバランスの上に成り立ってる感じがする。
海江田は、この核抑止論がもたらす平和を、大国だけがルールを決めるエゴイズムに満ちた、偽りの秩序だと見抜きます。核兵器という究極の暴力装置を特定の国家が独占し、それを背景に自国の利益を追求する構造そのものが、新たな対立や紛争の火種を生むと彼は主張するのです。
彼の目的は、この欺瞞に満ちた秩序を根底から覆し、国家という枠組みを超えた恒久平和を実現することでした。そのために彼が選んだ手段が、自らが核戦力を保有し、どの国家にも属さない独立戦闘国家「やまと」を名乗るという前代未聞の「静かな革命」です。
momo:彼の行動は、一方から見れば世界を混乱に陥れるテロリスト。でも、もう一方から見れば、命を賭して真の平和を追求する救世主にも見える…。この単純に白黒つけられないところが、この物語の深い魅力だよね。
海江田が描く新世界秩序「やまと」の具体的な構想

海江田四郎の「静かな革命」は、単なる現状批判にとどまりません。彼は、既存の核抑止論に代わる、新しい世界平和の形を具体的に構想していました。その核心となるのが、独立戦闘国家「やまと」を基軸とした、まったく新しい国際安全保障の枠組みです。
むすこ:「やまと」が世界の警察になるってこと?
むすめ:警察っていうか、国連軍みたいなものかな。でもどこの国にも味方しないっていうのがすごいよね。
政軍分離 - 国家から軍事を切り離すという革命的思想
海江田が最初に提唱するのが「政軍分離」という考え方です。これは、文字通り「政治」と「軍事」を切り離すことを意味します。海江田は、軍事力を国家の枠組みから解放し、国籍を持たない超国家的な機関の管理下に置くべきだと主張しました。その最初のモデルケースとなるのが、彼自身が率いる独立戦闘国家「やまと」です。これは、国家主権という近代の原則に真正面から挑む、非常に革命的な思想と言えます。
やまと保険 - 核を持たない国々のための安全保障
政軍分離の考え方をさらに具体化したのが、「やまと保険」という構想です。
むすこ:「やまと保険」って面白い名前!入ると核ミサイルから守ってくれるってこと?
momo:そうそう、そんなイメージだね。大きな国に脅かされても、「やまと」が守ってくれるから安心、っていう仕組みなんだ。
もし核を持たない国が、核保有国から一方的に攻撃や脅迫を受けた場合、国籍を持たない「やまと」が報復攻撃を行うという約束です。これにより、小国であっても大国の核の脅威に屈することなく、対等な立場でいられるようになります。これは、大国が提供する「核の傘」とは根本的に異なり、より公平で信頼性の高い安全保障となり得ます。
世界政府の樹立 - 国境を超えた人類共同体へ
「政軍分離」と「やまと保険」は、海江田が目指す最終目標への重要なステップです。彼の壮大なビジョンの先にあるのが、国境という概念そのものを超えた「世界政府」の設立です。
彼は、人類が国家という単位に分かれて争い続ける限り、真の平和は訪れないと考えていました。独立戦闘国家「やまと」の叛乱は、停滞した世界に衝撃を与え、人類を次のステージへと強制的に進化させるための、荒療治だったのかもしれません。
行動と覚悟を示す!海江田四郎の魂を揺さぶる名言集

海江田四郎というキャラクターの魅力を語る上で、彼の発する言葉の力は欠かせません。彼の言葉は単なるセリフではなく、彼の哲学や覚悟が凝縮された「名言」として、私たちの心に深く刻まれます。
momo:海江田さんの言葉って、一つ一つが重くて考えさせられるよね。大人になった今だからこそ、すごく胸に刺さる言葉がたくさんあるなぁ。
「牢獄の庭を歩く自由より嵐の海だがどこまでも泳げる自由を私なら選ぶ!!」
この言葉は、海江田四郎の根本的な価値観と、彼が起こした叛乱の動機を見事に象徴しています。彼は、たとえ危険や困難が伴おうとも、管理された偽りの平和に甘んじるのではなく、自らの力で未来を切り拓く道を選んだのです。
「言葉を発するとき 聴衆の数を意識することほど愚かなことはない そして言葉の意味を正確に伝えるのは行動しかないのだ」
これは、海江田の行動哲学を端的に示す言葉です。言葉の真の意味や価値は、それを語る者の「行動」が伴って初めて証明される、というのが彼の信念です。この名言は、理想を現実にするためには、批判を恐れずに行動を起こす勇気が必要であることを、私たちに教えてくれます。
「この海域、これからの戦いは、武器で相手を否定する戦闘ではない。相手を信用するという、最も困難な戦いなのだ。」
この言葉は、海江田の戦いが、単なる武力による殲滅戦ではないことを明確に示しています。彼の目的は相手を打ち負かすことではなく、相手に自分の思想を理解させ、信頼関係を築くことにあるのです。
むすめ:敵なのに「信用する」ってすごい…。普通の戦争とは全然違う戦い方なんだね。
「三権分立の思想が悲劇的人間観に基づき発想されたごとく『核』もまた楽観的な方法では廃絶できない」
この名言は、海江田が決して理想論だけの夢想家ではない、冷徹な現実主義者(リアリスト)であることを証明しています。彼は、「人類は理性的な存在だから、話し合えば解決できる」といった楽観論では核問題は決して解決できないと断じます。だからこそ彼は、「やまと」という強力な物理的システムを構築し、人間の不完全さを前提とした上で、平和を強制的に作り出すという逆説的な方法を選んだのです。
親子で楽しむ『沈黙の艦隊』ワールド

『沈黙の艦隊』の世界にさらに深く浸るためのおすすめ商品をご紹介します。
1. 原作漫画『沈黙の艦隊』
物語のすべてはここから始まりました。全32巻に及ぶ壮大な物語は読み応え抜群です。海江田の思想、緻密な潜水艦戦、そして手に汗握る国際政治の駆け引きが詳細に描かれています。
2. Amazon Originalドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』
まずは映像で物語の世界に触れたいという方におすすめです。大沢たかおさんが演じる海江田四郎は、原作の持つカリスマ性を見事に表現!最新のVFXで描かれる潜水艦の戦闘シーンは圧巻の一言です。
3. 映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』
ドラマの続編となる劇場版最新作です。原作でも特に人気の高い「北極海大海戦」のエピソードが描かれており、さらにスケールアップした物語が展開されます。
まとめ
『沈黙の艦隊』は、海江田四郎という一人の男が、核兵器という人類最大の発明を前にして「真の平和」を追い求めた物語です。彼の行動は、正義か、それとも反逆か。その答えは、簡単には出せません。
むすめ:読み終わった後も、海江田さんのやったことは正しかったのかなって、ずっと考えちゃう。
むすこ:潜水艦、プラモデルで作りたくなった!
彼が投げかけた問いは、30年以上経った今も、そして未来永劫、私たちが考え続けなければならない重要なテーマです。この物語を通じて、改めて核と平和について、そして私たち自身の未来について、親子で深く考えてみてはいかがでしょうか。